貸金業登録手続きの拒否事由
貸金業の登録手続きを受けようする者に対して、内閣総理大臣又は都道府県知事が、その登録を拒否しなければならない事由について、説明します。
貸金業登録拒否事由
登録の拒否【貸金業法第6条の各号】
内閣総理大臣又は都道府県知事は、貸金業の登録を受けようとする者が、貸金業法第6条の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 成年被後見人又は被保佐人
※被補助人は対象外
二 破産者で復権を得ないもの
※復権とは、破産した者を法律上「破産者」として制限を課すが、自己破産手続きが終了すると制限が解除され、これを復権という。
三 内閣総理大臣又は都道府県知事から登録を取り消された日から5年を経過しない者
法人の場合は、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であつた者で、当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。
※取消しの日前31日に退任した者は登録を拒否されない。
四 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
禁固以上の刑とは、「死刑・懲役・禁固」を指す。
五 暴力・背任などの一定の犯罪による罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
六 暴力団員等でなくなつた日から五年を経過しない者
七 貸金業に関し不正、又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として、内閣府令で定める者
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
九 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者のあるもの
十 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者のあるもの
十一 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十二 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
十三 営業所又は事務所について第十二条の三に規定する要件(貸金業務取扱主任者の設置)を欠く者
十四 純資産額が貸金業の業務を適正に実施するため必要かつ適当なものとして政令で定める金額(5,000万円)に満たない者
(資金需要者等の利益を損なうおそれがないものとして内閣府令で定める事由がある者を除く。)
十五 貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
※貸金業法施行規則 第5条の4(登録の拒否の審査)参照
十六 他に営む業務が公益に反すると認められる者
貸金業者の最低純資産額とは
貸金業法 第6条 第1項 第十四号の政令で定める金額とは、貸金業法施行令 第3条の2に定めがある。
貸金業者の最低純資産額【貸金業法施行令 第3条の2】
政令で定める金額は、五千万円とする。
貸金業登録拒否の審査基準
貸金業法 第6条 第1項の貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者の審査基準は、貸金業法施行規則 第5条の4に規定されている。
登録の拒否の審査【貸金業法施規則 第5条の4】
一 定款又は寄附行為の内容が法令に適合していること
(申請者が法人である場合に限る。)。
二 常務に従事する役員のうち、貸付けの業務に三年以上従事した経験を有する者があること。
申請者が個人である場合は、申請者が貸付けの業務に三年以上従事した経験を有する者であること。
※貸付け業務とは、貸金業者である必要は無く、銀行の貸付け業務でもよい。
三 営業所等ごとに、貸付けの業務に一年以上従事した者が、常勤の役員又は使用人として一人以上在籍していること。
※自動契約受付機若しくは現金自動設備のみで貸付け業務を行うものを除く。
四 資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資するため十分な社内規則を定めていること。
※社内規則は貸金業の業務に関する責任体制を明確化する規定を含むものでなければならない。
五 法第十二条の二の二(指定紛争解決機関との契約締結義務等)に規定する措置を講ずるために必要な措置を講じていること。
参考法令条文
貸金業法(登録の拒否)第6条
内閣総理大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 破産者で復権を得ないもの
三 第二十四条の六の四第一項、第二十四条の六の五第一項又は第二十四条の六の六第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定により登録を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
四 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
五 この法律、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 (昭和二十九年法律第百九十五号)、旧貸金業者の自主規制の助長に関する法律(昭和四十七年法律第百二号)若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項 及び第三十二条の十一第一項 の規定を除く。)に違反し、又は貸付けの契約の締結若しくは当該契約に基づく債権の取立てに当たり、物価統制令 (昭和二十一年勅令第百十八号)第十二条 の規定に違反し、若しくは刑法 (明治四十年法律第四十五号)若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
六 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号 に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
七 貸金業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として内閣府令で定める者
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
九 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者のあるもの
十 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者のあるもの
十一 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十二 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
十三 営業所又は事務所について第十二条の三に規定する要件を欠く者
十四 純資産額が貸金業の業務を適正に実施するため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者(資金需要者等の利益を損なうおそれがないものとして内閣府令で定める事由がある者を除く。)
十五 貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
十六 他に営む業務が公益に反すると認められる者
貸金業法施行令 第3条の2(貸金業者の最低純資産額)
法第六条第一項第十四号 に規定する政令で定める金額は、五千万円とする。
貸金業法施行規則 第5条の4(登録の拒否の審査)
財務局長、福岡財務支局長又は都道府県知事は、法第三条第一項 の登録の申請があつた場合において、法第六条第一項第十五号 に規定する貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者であるかどうかの審査をするときは、当該申請をした者が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査するものとする。
一 定款又は寄附行為の内容が法令に適合していること(申請者が法人である場合に限る。)。
二 常務に従事する役員のうちに貸付けの業務に三年以上従事した経験を有する者があること(申請者が個人である場合にあつては、申請者が貸付けの業務に三年以上従事した経験を有する者であること。)。
三 営業所等(自動契約受付機若しくは現金自動設備のみにより貸付けに関する業務を行うものを除く。)ごとに貸付けの業務に一年以上従事した者が常勤の役員又は使用人として一人以上在籍していること。
四 資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資するため十分な社内規則を定めていること。
五 法第十二条の二の二 に規定する措置を講ずるために必要な措置を講じていること。
2 前項第四号の社内規則は貸金業の業務に関する責任体制を明確化する規定を含むものでなければならない。
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